WALK UP(韓国)の出演者一覧
WALK UP(韓国)主演キャスト クォン・ヘヒョの魅力
映画監督ビョンス役を演じるクォン・ヘヒョは、1965年11月6日韓国ソウル生まれの実力派俳優です。妻は女優のチョ・ユニで、プライベートでも映画業界と深く関わりを持っています。
漢陽大学校演劇映画科で演技を学び、1990年に舞台で俳優としてスタートしました。1992年、イ・ジャンホ監督作『ミョンジャ・明子・ソーニャ』で映画デビューを果たして以降、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍し続けています。
特に注目すべきは、韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』(02)でのキム次長役での印象的な演技です。ユーモラスで親しみやすいキャラクターで多くのファンに愛されました。また、『私の名前はキム・サムスン』(05)の料理長役でも知られ、韓国ドラマファンにとって馴染み深い顔として親しまれています。
🎭 主な出演ドラマ。
- 『冬のソナタ』(02) – キム次長役
- 『私の名前はキム・サムスン』(05) – 料理長役
- 『寄生獣 ―ザ・グレイ―』(24) – Netflix配信
🎬 主な映画出演作。
- オ・ギファン監督『ラスト・プレゼント』(01)
- イ・ヨヌ監督『僕らの青春白書』(14)
- オム・テファ監督『隠された時間』(16)
- シン・スウォン監督『オマージュ』(21)
WALK UP(韓国)ヒロイン陣の演技力と経歴
ヘオク役のイ・ヘヨンは、「韓国を代表する名優」として高い評価を得ている女優です。ホン・サンス監督作品では常連として数多くの作品に出演し、その確かな演技力で作品に深みを与えています。
ソニ役のソン・ソンミは1974年9月13日、韓国釜山生まれで、1996年SBSスーパーエリートモデル大会で入賞後、1997年にドラマ『モデル』でデビューしました。日本でもリメイクされたユン・ジェギュン監督『マイ・ボス マイ・ヒーロー』(01)をはじめ、多数の映画に出演している実力派女優です。
注目すべきは、2017年に美術監督だった夫を不慮の事件で亡くすという辛い経験を乗り越え、その後現場復帰を果たした強い女性でもあります。
🌟 ソン・ソンミの代表作。
- 『マイ・ボス マイ・ヒーロー』(01)
- イム・ギョンス監督『盗られてたまるか』(02)
- キム・ジフン監督『木浦は港だ』(04)
ジヨン役のチョ・ユニは、漢陽大学演劇映画科で演劇を学んだ女優で、実生活では主演のクォン・ヘヒョの妻でもあります。結婚後は子育てに専念するため長らく俳優活動を休止していましたが、2017年にホン・サンス監督作品『それから』でクォン・ヘヒョと夫婦役で実際の夫婦共演を果たしました。これは1993年のイ・ミョンセ監督『初恋』以来、実に25年ぶりの映画出演という話題性もありました。
WALK UP(韓国)新世代俳優たちの注目演技
ジョンス役のパク・ミソは1999年8月22日、韓国大田市生まれの若手女優です。2019年、建国大学映画芸術学部にてホン・サンス監督の講義を受講したことがきっかけで、2021年の『イントロダクション』で長編映画デビューを果たしました。
このエピソードは映画業界では珍しく、大学の講義から映画出演に繋がったという興味深い経歴を持っています。その後、『小説家の映画』(22)、『WALK UP』(22)、『In Our Day』(23)にも立て続けに出演し、ホン・サンス監督作品の新たなミューズとして注目されています。
ジュール役のシン・ソクホは1989年6月15日、韓国ソウル生まれの俳優です。ホン・サンスが教授として在職している建国大学映画芸術学部で学び、まさに師弟関係から始まった俳優人生を歩んでいます。
🎓 建国大学映画芸術学部出身の特色。
- ホン・サンス監督の直接指導を受けた貴重な経験
- 理論と実践を兼ね備えた演技アプローチ
- 若手ながら監督の撮影スタイルを熟知
ホン・サンス監督作品では、『正しい日 間違えた日』(15)にスタッフとして参加することから始まり、『草の葉』(18)、『川沿いのホテル』(18)、『逃げた女』(20)、『イントロダクション』(21)、『あなたの顔の前に』(21)、『WALK UP』(22)に出演。『In Water』(23)では『イントロダクション』以来の2度目の主演を務めるなど、着実にキャリアを積み重ねています。
WALK UP(韓国)キャスト陣の撮影現場エピソード
ホン・サンス監督の撮影現場は、他の映画とは大きく異なる独特なスタイルで知られています。最も特徴的なのは、撮影当日の朝に俳優に台本を渡すという手法です。
クォン・ヘヒョは「毎朝、ホン監督から台本を渡され、その時に、ここに書かれている意味はなんだろうかと、その意味を探って演じていきます。そういう時間が積み重なって、1つのキャラクターが完成していく感じです」と語っています。
興味深いことに、一見アドリブが多そうに見えるホン・サンス作品ですが、実際にはアドリブは一切存在しません。クォン・ヘヒョによると「私が知る限り、私が出演している以外の作品も含めて、ホン監督の映画にアドリブというものは一切存在しません。セリフは完全に脚本のテキストに沿って、語尾までテキスト通りに演じています」とのことです。
🎬 撮影現場の特徴。
- 当日朝に台本を受け取る緊張感
- 17分の長回しシーンでの高い集中力
- アドリブなしの完璧な脚本再現
- 俳優の自然な魅力を引き出す演出
クォン・ヘヒョは「俳優が一般的な作品に臨む時には、事前に脚本を読んで、これを表現しよう、こう演じよう、と、事前に計画を立ててから演技を行いますが、ホン監督の作品の場合にはそういった計画は存在しないので、とても自由に、肩の力を抜いて居心地よく演じることができます」と、この独特な撮影方法の魅力を語っています。
WALK UP(韓国)出演者が語る作品の魅力と評価
『WALK UP』は2022年製作、97分のモノクロ映画として完成し、2024年6月28日に日本で劇場公開されました。Los Angeles Timesからは「ウィットに富み、独創的で、深く感動する力作。ホン・サンス監督の最高傑作」という絶賛の評価を受けています。
作品の舞台となったのは、ホン・サンス監督がかつて近くに住んでいたソウルの論峴洞にある実在のビルです。1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、そして地下がヘオクの作業場という設定で、各階ごとに物語が展開される構造的な面白さがあります。
クォン・ヘヒョは長年のホン・サンス監督との協働について「ホン監督は、1996年以降、28年間にわたって、韓国だけではなく世界的に見ても唯一無二と言えるような映画を作っていらっしゃいます。その仕事には全く迷いがなく、常に自分の撮りたいものを撮っている」と敬意を表しています。
🏆 作品の受賞歴・評価。
- Los Angeles Times「ホン・サンス監督の最高傑作」
- 2022年ベルリン国際映画祭出品
- 国際映画祭での高い評価
- 韓国映画界での芸術的価値認定
映画評論では「観客を選ぶ作品であることは間違いない」としながらも、「心地よさと心地悪さを綱渡りしていくような奇妙な緊迫感がずっと持続する」という独特な魅力が指摘されています。特にソン・ソンミについては「登場した瞬間に男がなびいてしまう、ただ事ではない魅力を発していた」と評されており、キャスト陣の存在感が作品の成功に大きく貢献していることがわかります。
配給は ミモザフィルムズが手がけ、アップリンク京都をはじめとする全国のアート系映画館で上映されました。ホン・サンス監督の28作品目となる本作は、監督の円熟した演出技術と、長年培われた信頼関係にある出演者たちの絶妙なアンサンブルが生み出した傑作として、韓国映画史に新たなページを刻んでいます。