その怪物（韓国）出演者一覧
その怪物（韓国）の主演キャスト解説
イ・ミンギ（テス役）
この映画の最大の見どころは、甘いラブコメ俳優として知られるイ・ミンギの衝撃的な悪役変身です。殺人鬼テス役のために、まず17kg増量してから再び17kg減量するという壮絶な体重調整を実施。最終的に体脂肪率4%まで絞り上げ、完璧な筋肉美を手に入れました。
撮影時のイ・ミンギは「死に対して鈍感になるために努力した」と語っており、これまでの優しいイメージを完全に封印。血も涙もない冷酷な殺人鬼を演じ切りました。彼が演じるテスは、人を痛めつけることに快感を覚える異常な殺人鬼で、殺した人の骨を陶芸の材料にするという恐ろしい設定も。
興味深いのは、テスが完全な悪役ではなく、捨て子として生まれ、家族から疎まれながらも母親を気遣う複雑な一面を持っていることです。
キム・ゴウン（ボクスン役）
「トッケビ」のウンタク役で多くの視聴者に愛されたキム・ゴウンが、町内で「狂った女」と呼ばれるボクスン役に大胆に挑戦。監督からは「頭が弱いようで正常に見える、中間地点」を要求される難しい役どころでした。
ボクスンは露天商として妹と二人で暮らす女性で、妹を殺されたことで復讐に燃える強烈なキャラクター。キム・ゴウンは台本読み合わせの段階から「ボクスン化」を進め、見た目も演技も「ウンギョ」とは180度異なる別人として役に入り込みました。
その怪物（韓国）の重要な脇役キャスト
アン・ソヒョン（キェ・ナリ役）
殺人現場を目撃してしまい、テスに追われることになる少女キェ・ナリを演じる子役。姉を殺されたショックから立ち直れないまま、ボクスンと共に逃亡生活を送ります。アン・ソヒョンの可愛らしさと恐怖に怯える演技が印象的で、多くの観客から「名演技」と評価されています。
キム・レハ（イクサン役）
テスの兄で、物語の発端となる重要な役割を担います。金銭問題から弟のテスを利用しようとしますが、テスを恐れて常にビビっている姿が描かれています。社長から託された金をネコババし、問題を弟に丸投げする卑劣な人物として設定されています。
キム・ブソン（テスの母親役）
テスを疎ましく思いながらも、彼が戻ってくると恐怖で震え上がる複雑な母親を演じています。息子を殺そうとしたり避けたりしながら、失敗すると作り笑いでごまかすという行動を繰り返してきた過去が示唆されています。
その怪物（韓国）キャストの撮影秘話と意外なエピソード
イ・ミンギの極限までの肉体改造
最も注目すべきは、イ・ミンギの壮絶な役作りです。元々身長に比べて体重が軽かったため、まず筋肉質なボディーラインを作るために17kg増量。その後、殺人鬼らしい研ぎ澄まされた肉体を作るために再び17kg減量するという二段階の体重調整を実施しました。
最終的に体脂肪率4%まで絞った際には「お腹にも血管があることを初めて知った」と語り、「あまりにも辛かったので、撮影終了と同時にその体と別れたかった」とコメント。この極限までの肉体改造により、韓国映画史上類を見ない魅力的な殺人鬼が誕生しました。
キム・ゴウンの完全なイメージチェンジ
「ウンギョ」で純粋な女子高生を演じたキム・ゴウンが、精神的に不安定な「狂った女」役に挑戦した背景には、彼女の「まだ若いですからね」という挑戦精神がありました。監督からの「予測困難なボクスンの行動」という難しい要求に応えるため、歩き方から話し方、目つきまで全てを変化させ、多くの観客が同じ女優だと気づかないほどの変身を遂げました。
アクションシーンでの迫真の演技
終盤のテスとボクスンのバトルシーンでは、キム・ゴウンが実際にぶん投げられるなど、本格的なアクションに挑戦。「ゾンビ並みに生き返る」テスと「また立ち上がる」ボクスンの死闘は、多くの観客に強烈な印象を残しました。
その怪物（韓国）出演者たちの隠された演技メソッド
イ・ミンギの心理的アプローチ
従来の優しいイメージを完全に封印するため、イ・ミンギは「死に対して鈍感になる」という独特な演技メソッドを採用。殺人鬼テスが人の苦しみを見て喜ぶサイコパスを表現するため、バーでの殺人シーンでは「これから自分がすることを想像して喜びが抑えきれない」という複雑な感情を表現しました。
キム・ゴウンの段階的変身法
台本読み合わせの段階から徐々に「ボクスン化」を進めるという独特なアプローチを採用。ボクスンの「頭が弱いようで正常、正常のようで異常」という矛盾した特徴を表現するため、中間地点を見つける細かな調整を重ねました。
子役アン・ソヒョンの自然な恐怖表現
恐怖に怯える少女役を演じるアン・ソヒョンは、大人の俳優たちの迫真の演技に囲まれることで、自然な恐怖表現を身につけました。特にイ・ミンギの圧倒的な存在感により、本物の恐怖を感じながら演技することができたとされています。
その怪物（韓国）出演者の映画への影響と評価
韓国映画界での新境地開拓
この映画は「韓国映画史上類を見ない連続殺人魔と狂った女の対決」として話題となり、特にイ・ミンギとキム・ゴウンの大胆なイメージチェンジが高く評価されました。両者とも従来のイメージを見事に破り捨て、新たな演技の可能性を示したと評価されています。
国際的な注目と配給
ファン・インホ監督のもと、TCエンタテインメントが配給を手がけたこの作品は、韓流ブーム初期から活躍するイ・ミンギと、新人女優キム・ゴウンの組み合わせが国際的にも注目を集めました。特にイ・ミンギの肉体改造は海外メディアからも「役者魂」として称賛されました。
後の作品への影響
この映画での成功により、キム・ゴウンはその後「トッケビ」などの大作に抜擢される契機となり、イ・ミンギも多様な役柄への挑戦を続けるきっかけとなりました。両者の「型破りな挑戦」は、韓国映画界における俳優の可能性を広げる重要な転換点となったとされています。
映画「その怪物」は、出演者たちの圧倒的な役作りと演技により、単なるスリラー映画を超えた作品として韓国映画史に残る傑作となりました。特にイ・ミンギの17kg増減という壮絶な肉体改造と、キム・ゴウンの完全なイメージチェンジは、今後も語り継がれる伝説的なエピソードとして記憶されるでしょう。