カメリア（韓国）の出演者一覧
映画「カメリア」は2010年に製作されたアジアの国際合作オムニバス映画で、釜山国際映画祭の製作プロジェクトとして誕生しました。タイのウィシット・サーサナティヤン監督、日本の行定勲監督、韓国のチャン・ジュナン監督という3人のアジア映画界の巨匠が、「釜山」を舞台に「愛」をテーマとして描いた3つの物語から構成されています。
この作品は2010年10月25日に第23回東京国際映画祭で上映され、翌年2011年10月22日に日本で劇場公開されました。韓流スターを含む豪華国際キャストが出演し、各監督の独特な演出スタイルが融合した話題作となりました。
カメリア（韓国）主要キャスト プロフィール
映画「カメリア」には、韓国を代表する実力派俳優陣が多数出演しています。特に注目すべきは、韓流ドラマで絶大な人気を誇るソン・ヘギョと、映画界のトップスター カン・ドンウォンの共演です。
ソン・ヘギョ（ボラ役）
1981年11月22日生まれ、大邱広域市出身の韓国女優界のトップスターです。「秋の童話」（2000年）でブレイクし、「フルハウス」（2004年）では共演したRain（ピ）とのコンビで人気を博しました。2007年には韓国人として初めてファッション雑誌『Vogue』の表紙を飾り、2010年には米映画専門サイトが発表した「最も美しい顔トップ100」で18位にランクインするなど、その美貌は国際的にも認められています。
カン・ドンウォン（ジェイ役）
釜山出身の韓国映画界を代表する俳優の一人で、「LOVE FOR SALE」編でソン・ヘギョと共演しました。興味深いことに、ソン・ヘギョは後にインタビューで「4年前、30分ほどのオムニバス映画『カメリア』の『LOVE FOR SALE』でカン・ドンウォンと会ってから、親交を深めてきた」と語っており、この作品が二人の長い友情の始まりとなったことが明らかになっています。
ソル・ギョング（パク・ヨンス役）
日本の行定勲監督による「Kamome」編で、撮影監督役を演じた韓国の名優です。徹底した役作りで知られ、幅広い作品に出演する実力派俳優として評価されています。
キム・ミンジュン（ジホン役）
タイのウィシット・サーサナティヤン監督による「IRON PUSSY」編に出演し、1970年代の釜山を舞台にした悲恋物語を演じました。
カメリア（韓国）各編の詳細キャスト構成
映画「カメリア」は3つの異なる時代設定で構成されており、各編ごとに特徴的なキャスト構成となっています。
「IRON PUSSY」（過去・1970年代）
この編では、タイのスパイとして釜山にやって来たアイアン・プッシー（ミシェル・シャオワナサイ）と韓国人のジホン（キム・ミンジュン）との結ばれぬ恋が描かれています。女装してスパイ活動をするという設定で、コミカルでありながら切ない恋愛物語となっています。
「Kamome」（現在・2010年）
行定勲監督による現在編では、撮影監督のパク・ヨンス（ソル・ギョング）と、”カモメ”と名乗る謎の少女（吉高由里子）との出会いが描かれています。この編では韓国と日本の俳優が共演し、言葉の壁を越えた心の交流が美しく描写されています。
「LOVE FOR SALE」（未来）
韓国のチャン・ジュナン監督による未来編では、記憶の売買がビジネスとして横行する未来都市・釜山を舞台に、恋人ボラ（ソン・ヘギョ）との過去の記憶を取り戻そうとするジェイ（カン・ドンウォン）の物語が展開されます。この編では二人が1人2役を演じており、愛し合う時期の男女の様々な愛情の姿が描かれています。
カメリア（韓国）撮影秘話と俳優たちの関係性
映画「カメリア」の撮影には、数多くの興味深いエピソードが残されています。特に「Kamome」編の撮影は、氷点下2度の釜山の夜を裸足で歩くという過酷な条件下で行われました。
行定勲監督は吉高由里子について「この女優さんを撮ってみたい！と気になる女優さんは少ない」と語り、「作品ごとに違う顔で、違う温度があった。それがなんだかいいなあと」と撮影時の印象を明かしています。吉高自身も「抵抗することはあきらめました」と語りながらも、「それだけ身を委ねられる監督だということでもある」と信頼関係を築いていたことが分かります。
ソル・ギョングは吉高由里子を「強烈な”匂い”を持った女優」と表現し、「撮影期間は5日間だけだったけれども、すぐにスタッフやキャストの心をわし掴みにした。そして撮影が終わってしまうと彼女が演じたかもめのように、忽然と姿を消した」と述べています。これは言葉の壁を越えた真の芸術的コミュニケーションが生まれていたことを示しています。
韓国キャスト同士の関係では、ソン・ヘギョとカン・ドンウォンの友情が特に注目されます。ソン・ヘギョは「プライベートでよく会っていたので、カン・ドンウォンの演技に懸ける情熱がどれほどなのか、よく知らなかった」と語っており、この作品を通じて俳優としての新たな一面を発見したことを明かしています。
カメリア（韓国）制作背景と国際的評価
映画「カメリア」は、釜山国際映画祭の革新的なプロジェクトとして企画されました。「東のカンヌ」と呼ばれるほど急成長を遂げた釜山国際映画祭が、アジアの映画監督たちに「釜山」を舞台にした「愛」の物語を自由に撮影する機会を提供したのです。
この作品の特徴は、各監督が完全に自由な発想で作品を制作できたことです。行定勲監督は「自由に映画を作っていいよと言われたときくらい、説明過多で理論武装した映画ではないものを作ってみたかった」と語っており、通常の商業映画制作とは異なる芸術的自由度の高いプロジェクトでした。
映画は3つの異なる時代設定を通じて、過去、現在、未来という時の流れの中での愛の普遍性を描いています。1970年代のスパイ映画風コメディ、現在の幻想的なロマンス、未来のSFアクションという多様なジャンルが一つの作品に融合されており、各監督の個性が存分に発揮された実験的な作品となりました。
第15回釜山国際映画祭ではクロージング作品として上映され、国際的にも注目を集めました。特に行定勲監督の「Kamome」編は、「韓国映画にはない独特のセンス」と評価され、「日本的な情緒を感じる作品」として韓国でも高い評価を受けました。
カメリア（韓国）出演者たちの現在と作品の影響
映画「カメリア」に出演した韓国俳優陣は、その後も韓流エンターテインメント界で重要な役割を果たし続けています。
ソン・ヘギョは2016年に「太陽の末裔」で再び大ブレイクを果たし、KBS演技大賞の大賞を受賞しました。さらに2023年には「ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜」で百想芸術大賞TV演技部門最優秀演技賞女性を受賞し、演技力の幅を示しています。
カン・ドンウォンは映画界でのトップスターの地位を確立し続け、釜山出身という地元愛も相まって、韓国映画界の重要な存在となっています。「カメリア」での共演をきっかけにソン・ヘギョとの友情を深め、その後の作品でも度々共演しています。
ソル・ギョングは「カメリア」での行定勲監督との仕事を通じて、韓国映画界における国際的な協働の重要性を体現する俳優となりました。彼は「平凡であろうと、努力はし続ける」という姿勢で、幅広い作品に出演し続けています。
この作品は、アジア映画界における国際協力の先駆的な事例として位置づけられており、出演者たちにとっても貴重な国際的経験となりました。特に言葉の壁を越えた芸術的コミュニケーションの成功例として、後の国際合作映画の参考となる作品となっています。
また、釜山という都市の魅力を世界に発信した作品としても評価されており、出演者たちの演技を通じて描かれた釜山の「静と動、光と闇の美しさ」は、多くの観客に強い印象を残しました。
映画「カメリア」は単なるオムニバス作品を超えて、アジア映画界の国際的な連携と、各国の俳優たちの真の芸術的交流を実現した記念すべき作品として、韓流エンターテインメントの歴史に重要な足跡を残しています。