本記事には広告を含む場合があります。

オペラ座の怪人(韓国)の出演者一覧から見る韓国ミュージカル界

オペラ座の怪人(韓国)の出演者一覧

韓国版オペラ座の怪人 主要キャスト
🎭

ファントム役

チョ・スンウ、キム・ジュテク、チョン・ドンソク、チェ・ジェリムの4名体制

🌹

クリスティーヌ役

ソン・ジス、ソン・ウネの声楽家出身コンビ

🤵

ラウル役

ソン・ウォングン、ファン・ゴナの実力派俳優陣

2023年に13年ぶりに韓国で上演された「オペラ座の怪人」は、韓国ミュージカル界屈指の豪華キャスティングで話題となりました。この公演は釜山のドリームシアターで3月に開幕し、7月からソウルのシャルロッテシアターで上演され、韓国ミュージカルファンの間で「レジェンド公演」と呼ばれる注目の舞台となったのです。

韓国版の最大の特徴は、ファントム役を4名の実力派俳優がローテーションで演じるクワトロキャスト制を採用している点です。各キャストがそれぞれ異なる魅力と解釈でファントムを演じ分け、観客は同じ作品でも全く違った体験を楽しめます。

オペラ座の怪人(韓国)の代表的ファントム役出演者プロフィール

チョ・スンウは韓国を代表する俳優として、映画・ドラマ・舞台の全てで最高峰の地位を築いています。22年ぶりの「オペラ座の怪人」復帰となった今回の公演では、7年ぶりの舞台復帰としても大きな話題となりました。

チョ・スンウの魅力は歌そのものよりも演技と存在感にありますが、今回の公演では声楽家揃いのファントムの中でもプレッシャーを感じ、直前まで歌の特訓に励んだというエピソードがあります。その努力の甲斐あって、第一声を聴いた瞬間に観客が鳥肌を立てるほどの歌唱力を披露し、「ものすごく歌が上手くなっている」と絶賛されました。

キム・ジュテクはイタリアの音楽芸術大学に留学経験を持つオペラ歌手出身の俳優です。その異次元の声量は「召喚魔法のバトル」と形容されるほどで、底知れぬ怖さを持つ怪物らしいファントムを演じています。

チョン・ドンソクはイケメンでモデル級のスタイルを持つ美しい怪人として知られています。「仮面を剥ぎ取られても美貌が隠せない」と評されるほどのビジュアルでありながら、ハイレベルな歌唱力の出演者の中でも飛び抜けた実力を持っています。

チェ・ジェリムは最盛期の人気を継続しているミュージカル俳優として、多くのファンに愛される存在です。

オペラ座の怪人(韓国)のクリスティーヌ役出演者の声楽的背景

クリスティーヌ役を演じるソン・ジスは、ソウル大学声楽科を主席卒業後、イタリアに留学してオペラデビューを果たした輝かしい経歴を持つ声楽家です。ミュージカルは初出演でしたが、小さな体からは想像できない声量で難解な旋律を天使の声で歌いこなし、「リアルクリスティーヌ」と称賛されました。

初期のころは歌が動きに先行する感じでぎこちなさも感じられましたが、公演後半には動きに感情も乗せることができるようになり、安定感抜群の演技を見せました。特にチョ・スンウとのペアでは、クリスティーヌのファントムへの愛や迷いが手に取るように伝わり、観客を号泣させるほどの感動的な舞台を作り上げました。

ソン・ウネも同じく声楽家出身で、ソン・ジスと並んでクリスティーヌ役を担当しています。両名とも新人として抜擢されましたが、その実力は折り紙つきです。

興味深いことに、キム・ジュテクとソン・ジスのペアは、両名ともイタリアの音楽芸術大学に留学経験を持つオペラ歌手同士の組み合わせとなっており、その異次元すぎる声量による掛け合いは「召喚魔法のバトル」のような迫力があると評されています。

オペラ座の怪人(韓国)のラウル役出演者たちの意外な一面

ラウル役のソン・ウォングンは、最初にキャスティングが発表された際に「ウォングンさんがラウル!」と話題騒然となったことで知られています。多くの人がファントム役だと思っていたほど、意外なキャスティングでした。

ソン・ウォングンは「スリルミー」の彼役や「Story Of My Life」のトーマス役、「Daddy Long Legs」のジャーヴィス役などで有名な実力派俳優です。釜山公演中はソウルで上演されていた「Red Book」との掛け持ちで、毎回カテコでは心配になるくらい憔悴していたというエピソードもあります。

体が大きくて少しぽっちゃりした印象のウォングンさんは、従来のラウル像とは異なるイメージでしたが、大人でしっとり落ち着いた雰囲気の包容力抜群なラウルを演じました。「Think of Me」でクリスティーヌを発見した際には、隣に座っているマダムに丁寧にお願いしてオペラグラスを拝借する紳士的な一面も見せています。

ファン・ゴナ(ファン・ゴンハ)もラウル役を担当し、ソン・ウォングンとのダブルキャストでこの重要な役柄を支えています。

オペラ座の怪人(韓国)の公演における特別なエピソードと舞台裏

韓国版「オペラ座の怪人」には数多くの興味深いエピソードがあります。チョ・スンウの場合、声楽家揃いのファントムの中で歌うことに対して「ものすごいプレッシャー」を感じ、幕が開けるまで不安で仕方なかったと語っています。しかし、努力を惜しまない姿勢により、観客からは「恐ろしいほど」の評価を得ました。

公演会場となったシャルロッテシアターは、ロッテワールドのミュージカル専用劇場として2006年に竣工した施設で、客席数は1,241席と意外にコンパクトな作りとなっています。劇場のいたる所に薔薇があしらわれており、宝塚ファンにとってはテンションが上がる空間として評判です。

チケット価格については、韓国でもミュージカルチケットの高騰が進んでおり、「オペラ座の怪人」はまさにオペラ価格と称されるほど高額でした。VIP席は190,000ウォンで、円安の影響もあり日本円で21,700円という価格設定となっていました。A席でも1万円を超える価格帯で、韓国ミュージカルとしてはプレミアム価格での上演となりました。

観客の反応も熱烈で、特にチョン・ドンソクの退勤挨拶を期待するファンの姿も見られましたが、ソウル初日の退勤挨拶以外はあまり行われなかったようです。

劇場の構造上、「オペラ座の怪人」では2階席もおすすめとされています。ファントムが高いところに登場するシーンがあるため、1階の前方席では見えにくい場面があり、少し引き気味の席の方が全体を楽しめるという特徴があります。

オペラ座の怪人(韓国)の演出と他国版との比較での独自性

韓国版「オペラ座の怪人」の演出面での特徴として、各キャストが持つ個性を最大限に活かした解釈の違いが挙げられます。チョ・スンウ版では演技と存在感を重視した情感豊かな怪人像が、キム・ジュテク版では声楽的完成度の高い本格的なオペラティックな怪人像が描かれています。

興味深いのは、同じ原作から生まれた作品でも「ファントム」と「オペラ座の怪人」では大きく内容が異なることです。「オペラ座の怪人」がファントム、クリスティーヌ、ラウルの三角関係を中心に扱っているのに対し、「ファントム」にはラウルの代わりにキャリエール(ファントムの父)が登場し、ファントムの秘密の幼年期が描かれています。

韓国では両作品とも人気が高く、2021年にはSUPER JUNIORのキュヒョン主演による「ファントム」も上演されており、韓国の観客は原作の異なる解釈を楽しんでいます。

また、韓国版の特徴として、声楽家出身のキャストが多数起用されていることが挙げられます。これにより、オペラ的な要素がより強調された舞台となっており、クラシック音楽愛好家からも高い評価を得ています。

公演期間中には、釜山とソウルでの地域差も見られました。釜山のドリームシアターは1,727席とより大きな会場でしたが、チョ・スンウ出演日でも席種を選ばなければチケットが取れたという状況でした。一方、ソウル公演はより競争が激しく、プレミアムチケットとしての性格が強かったようです。

このように、韓国版「オペラ座の怪人」は、世界各国で上演されている同作品の中でも、特に声楽的完成度と演技力を両立させた独特な魅力を持つ公演として、韓国ミュージカル界の新たな金字塔を打ち立てたのです。