アンダードッグ 二人の男(韓国)出演者一覧
アンダードッグ主演俳優ミンホ(SHINee)の映画デビュー作
本作品の主人公ジニル役を演じるのは、K-POPグループSHINeeのメンバーとして活動するミンホ(チェ・ミンホ)です。これが彼の映画初主演作品となり、アイドルから俳優への転身を印象づけた記念すべき作品です。
ミンホは1991年12月9日生まれの韓国出身で、2008年にSHINeeとしてデビューしました。グループでの活動と並行して俳優業にも挑戦し、ドラマ「花ざかりの君たちへ」や「ときめきプリンセス婚活記」などに出演していました。
本作品でのミンホは、家を持たない不良グループのリーダーという役柄を熱演しています。恋人ガヨンを守るために奔走する姿は、彼の新たな魅力を引き出した演技として評価されました。撮影では実際に殴り合いのシーンで血だらけになるなど、体を張った演技を見せています。
アイドル出身俳優の映画主演は当時珍しく、ミンホのファンだけでなく映画ファンからも注目を集めました。彼の持つカリスマ性と演技力が、この作品の成功に大きく貢献したと言えるでしょう。
アンダードッグの悪役マ・ドンソクの迫力ある演技
ヒョンソク役のマ・ドンソクは、韓国映画界を代表する実力派俳優として知られています。「新感染 ファイナル・エクスプレス」での圧倒的な存在感で日本でも人気を博し、本作品でも屈強な男の役柄を完璧に演じ切りました。
マ・ドンソクが演じるヒョンソクは、違法風俗店を経営する裏社会の男という設定です。表面的には恐ろしい悪役ですが、中学生の娘には優しい一面を見せるという複雑な人物像を持っています。この二面性を巧みに演じ分けるマ・ドンソクの演技力が光る役柄です。
興味深いのは、本作品でのマ・ドンソクが従来のような「無敵キャラ」ではない点です。普段の作品では圧倒的な強さを見せる彼ですが、今回は人間味のある悪役として描かれており、ファンにとっては新鮮な魅力を感じられる演技となっています。
また、マ・ドンソクの代表作には「悪人伝」「ゴールデンスランバー」なども挙げられ、その演技の幅広さが評価されています。本作品でも1~2発のパンチで相手を戦闘不能にする迫力あるアクションシーンは健在でした。
アンダードッグのヒロイン・チョン・ダウンと脇役キャスト紹介
ヒロインのガヨン役を演じるのはチョン・ダウンです。彼女は「The Witch/魔女」などの作品にも出演している実力派女優で、本作品では不良グループの一員として生きる女性の複雑な心境を繊細に表現しています。
ガヨンは恋人ジニルと仲間たちのために自らの身体を売ろうとするという過酷な設定の役柄です。その後ヒョンソクの違法風俗店で働かされることになり、物語の重要なキーパーソンとなります。チョン・ダウンの演技は、この困難な状況に置かれた女性の心情を説得力を持って描き出しています。
脇役陣も豪華で、キム・ジェヨンがソンフン役で出演しています。彼は「金の亡者たち」「ゴールデンスランバー」などの代表作を持つベテラン俳優です。本作品では刑務所帰りの男という役柄で、クレイジーな演技を披露しています。
その他の主要キャストには以下の俳優たちが名を連ねています。
- イ・ユジン(男性):ポンギル役 – ジニルの親友で少年院で出会った仲間
- パク・ホサン:脇役として出演
- ペク・スミン:サブキャストとして参加
- キム・ウォンシク:脇役陣の一員
アンダードッグの制作背景と監督イ・ソンテの独自演出
「アンダードッグ 二人の男」は2016年に韓国で製作された作品で、イ・ソンテが監督・脚本を担当しました。彼は本作品で荒ぶる”負け犬”たちの生き様を描き、従来のクライムアクション映画とは一線を画すアプローチを試みています。
制作面での注目すべき点は、第21回釜山国際映画祭招待作品の中で最速完売を記録したという人気ぶりです。これは韓国国内での期待の高さを物語っており、SHINeeミンホの映画初主演という話題性も相まって大きな注目を集めました。
本作品の上映時間は92分と比較的コンパクトにまとめられており、テンポの良いストーリー展開が特徴です。ソウルのストリートを舞台に、うだつのあがらない若者たちやチンピラと警察の間で繰り広げられる命懸けの駆け引きと死闘を描いています。
イ・ソンテ監督の演出で特筆すべきは、登場人物たちの複雑な人間関係を丁寧に描写している点です。単純な善悪の対立ではなく、それぞれのキャラクターが抱える事情や背景を重層的に表現することで、観客により深い印象を与える作品に仕上げています。
また、アクションシーンの演出においても、過度に派手な演出を避け、リアリティのある殴り合いや追跡劇を重視したアプローチを取っています。これにより、キャラクターたちの生々しい感情がより鮮明に伝わる作品となっています。
アンダードッグ出演者の意外な共通点と撮影エピソード
本作品の出演者たちには意外な共通点があります。主演のミンホとマ・ドンソクは年齢差が大きく異なる世代の俳優ですが、両者とも韓国エンターテインメント業界で独自のポジションを築いてきた人物です。ミンホはアイドルグループのメンバーとして、マ・ドンソクは遅咲きの俳優として、それぞれ異なる道のりを歩んできました。
撮影時のエピソードとして興味深いのは、ミンホが体を張った演技に挑戦したことです。アイドル出身ながら、本格的なアクションシーンでは実際に殴り合いを演じ、血だらけになるまで撮影に臨んだと言われています。これは彼の俳優としての真剣さを示すエピソードとして語り継がれています。
マ・ドンソクについても、本作品では従来の「無敵キャラ」とは異なる人間味のある悪役を演じており、彼の演技の幅を広げる挑戦的な役柄でした。中学生の娘に対しては優しさを見せるという設定は、彼のこれまでの作品にはない新鮮な要素でした。
キム・ジェヨンも本作品でサイコパス的な役柄を演じており、「なぜあそこまでのサイコパス野郎になってしまったのか全く説明がない」と評されるほど徹底した悪役ぶりを見せています。これは彼の演技力の高さを示すエピソードでもあります。
さらに、本作品のタイトル「アンダードッグ 二人の男」について、「どの二人なんだよ?」という疑問を抱く観客も多く、これは制作側の意図的な曖昧さかもしれません。この曖昧さも含めて、観客それぞれが解釈を楽しめる作品構造になっています。
日本での劇場公開は2018年1月に「未体験ゾーンの映画たち2018」の一環として行われ、その後テレビ放送やストリーミング配信を通じて多くの日本の韓国映画ファンに愛され続けています。