キムミンハの出演作品解説
キムミンハのパチンコ世界的成功秘話
1995年9月1日生まれ、現在29歳のキムミンハ(김민하)は、2022年Apple TV+の大作ドラマ「パチンコ」で主演を務めたことで一躍世界的な注目を浴びた韓国女優です。
この「パチンコ」の主演獲得までの道のりは決して平坦ではありませんでした。キムミンハは主演の座を掴むために、なんと4ヶ月にわたって9回ものオーディションを受けています。特に注目すべきは、監督と実際に顔を合わせたのが最後の9回目のオーディションだったという事実です。
「パチンコ」は約1000億ウォンをかけた超大作で、日本統治時代に日本へ渡った在日コリアンの4代にわたる80年の軌跡を描いた作品です。キムミンハは10代のソンジャ(主人公)を演じ、その名演技により数々の国際的な演技賞を受賞しました。
- 第4回アジアコンテンツアワード ライジングスター賞
- 第8回アジアスターアワード ビヨンドシネマ賞
- 第38回インディペンデント・スピリットアワード トップアンサンブルキャスト賞
- 第11回マリ・クレール映画祭 レディアンス賞(2024年)
興味深いことに、キムミンハの名前は「国際文化に最も大きな影響力を及ぼしたアジア、太平洋人を注目するA100リスト」にも選ばれており、その国際的な影響力の大きさを物語っています。
キムミンハが「パチンコ」の撮影で最も印象に残っているセリフは、ソンジャが下宿を出る際に妹ドンヒを抱きしめて言う「それでも生きていかなければいけないよ」という言葉です。彼女はこのセリフについて「ソンジャというキャラクターを1つの文章で表現したセリフだと思います。何年も経っているのに、今でも心に残っています」と語っています。
キムミンハの最新作品と演技の幅
2024年以降、キムミンハは立て続けに話題作に出演し、その演技の幅広さを証明しています。
「照明店の客人たち」(2024年)
Disney+で配信されたこの作品で、キムミンハは敏感で鋭い感覚を持ったシナリオ作家のソネを演じています。古いビラに引っ越した後、電球が割れたり、家の中で見知らぬ人の跡を発見するなど奇妙な状況に巻き込まれる役柄を繊細に表現しました。
「私が死ぬ一週間前」(2025年)
コンミョンと共演したこの青春ファンタジーロマンスでは、生きる意欲を失い引きこもりのような生活を送っていた大学生のヒワンを演じています。初恋の相手が死神として現れるという独特な設定の中で、キムミンハの感情表現力が光る作品となっています。
「テプン商事」(2025年予定)
2PMのジュノと共演が決定したtvNの新ドラマでは、1997年のアジア通貨危機を背景に、テプン商事の経理オ・ミソンを演じる予定です。小さな肩に家族という重荷を背負った、責任感と勤勉さを持つ”K-女性職員”という役柄で、新たな魅力を見せることが期待されています。
キムミンハの隠れた才能と意外な経歴
多くのファンが知らないキムミンハの意外な一面として、彼女の音楽的才能があります。実は幼い頃はアニメが好きで、声優になりたいと思っており、声優学院に通った経験もありました。
さらに驚くべきことに、2024年10月9日には自身初のソロシングル「レター」をリリースしています。これは隠された名曲を新しいアーティストの声で再解釈するプロジェクト「MOLD」の一環として制作されたもので、原曲はMilenaの「Letter」です。キムミンハの深い音色が原曲の感性を維持しながらも新たな魅力を加えた作品として注目されました。
また、彼女は英語を非常に流暢に話すことができます。これは両親の教育方針により幼い頃から英語に触れていたためで、この語学力が国際的な作品「パチンコ」での成功にも貢献していると考えられます。
学歴面では、漢陽大学演劇映画科を卒業しており、高校3年生の時に表現することに魅力を感じ、得意の英語を活かした進学先ではなく演劇映画科への道を選んだというエピソードも興味深いところです。
キムミンハの代表的な映画作品紹介
ドラマでの活躍が注目されがちなキムミンハですが、映画作品でも印象的な演技を見せています。
「ザ・コール」(2020年)
この作品は時空を超えた電話によって繋がった二人の女性の物語を描いたサスペンス映画で、キムミンハは重要な役割を演じています。
「記念写真」(2017年)
キムミンハの初期の映画作品の一つで、彼女の演技の基礎を築いた作品として位置づけられます。
「After Spring」(2018年)
国際的な映画祭でも注目された作品で、キムミンハの演技力の幅広さを示す作品の一つです。
「暴露:目を閉じた子供」(未定)
2024年の第29回釜山国際映画祭で公開が予定されている最新映画作品で、キムミンハの更なる成長が期待されています。
映画作品においても、彼女は常に挑戦的な役柄を選び、その都度新たな魅力を発見させてくれる女優として評価されています。特に「ザ・コール」では、複雑なサスペンス要素を含む役柄を見事に演じ切り、ドラマとはまた違った一面を見せました。
キムミンハの演技哲学と今後の展望
キムミンハの演技に対するアプローチは、常に役柄への深い理解と感情移入から始まります。「パチンコ」の撮影について語った際、「人物間や関係ごとに積み重なっていく物語を表現した瞬間は、すべて大切で愛おしいです」と述べており、彼女の演技に対する真摯な姿勢がうかがえます。
2016年のWebドラマ「2人の女 シーズン2」でデビューしてから現在まで、キムミンハは着実にキャリアを積み重ねてきました。初期は「恋するレモネード」「ジャスティス-検法男女-」「私のIDはカンナム美人」などの作品に助演として出演していましたが、なかなかブレイクのきっかけを掴めずにいました。
しかし、「パチンコ」での世界的な成功を機に、彼女の演技力は国内外で高く評価されるようになりました。現在では「ラブストーリーからサスペンスまでをこなす演技力を高く評価されている」女優として認知されています。
キムミンハが所属するSARAMエンターテインメントでの活動も活発で、今後も多様なジャンルの作品への出演が予定されています。特に2025年の「テプン商事」では、1997年のIMF危機という歴史的背景を持つ作品で新たな挑戦を見せる予定です。
彼女の今後の展望について考える上で注目すべきは、国際的な作品への参加意欲の高さです。「パチンコ」での成功により、韓国国内だけでなく世界的な知名度を獲得した彼女は、今後もグローバルな視点を持った作品選びを続けていくと予想されます。
また、音楽活動への挑戦も彼女の新たな可能性を示しており、女優業と並行してマルチタレントとしての活動も期待されています。