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MASTER/マスター(韓国)の出演者一覧とあらすじから見る詐欺事件を描いた韓国映画の魅力

MASTER/マスター(韓国)の出演者一覧とあらすじ

MASTER/マスター(韓国)映画概要
🎭

豪華キャスト陣

イ・ビョンホン、カン・ドンウォン、キム・ウビンら韓国トップスターが初競演

💰

実話ベースのストーリー

4000億円もの巨額詐欺事件をモチーフにしたサスペンス・アクション

🚔

勧善懲悪の構図

詐欺師vs刑事の頭脳戦とド派手なアクションシーンが見どころ


■視聴サイト

MASTER/マスターの主要キャスト・出演者一覧

MASTER/マスター」には韓国映画界を代表する実力派俳優たちが出演しています。

メインキャスト

  • イ・ビョンホン(チン・ヒョンピル役)

    巨大投資詐欺会社「ワン・ネットワーク」のカリスマ会長。政財界に人脈を持つ狡猾な詐欺師を演じる。日本語吹替は阪口周平が担当。

  • カン・ドンウォン(キム・ジェミョン役)

    知能犯罪捜査課長の刑事で、初の刑事役に挑戦。チン会長を半年間追い続ける正義感あふれる捜査官を熱演。日本語吹替は野島裕史。

  • キム・ウビン(パク・ジャングン役)

    天才ハッカーでチン会長の側近。司法取引に応じて捜査に協力する複雑な立場の人物。日本語吹替は鈴木達央。

サポートキャスト

  • オム・ジウォン – 日本語吹替:今泉葉子
  • オ・ダルス – 日本語吹替:渡邊隼人
  • チン・ギョン
  • チョ・ヒョンチョル
  • ユ・ヨンス

この作品は演技の”マスター”とも呼べる三人の初競演として大きな話題となりました。特にイ・ビョンホンの冷酷非道なワル役、カン・ドンウォンの正義を貫く刑事役、キム・ウビンの等身大の存在感が光る天才ハッカー役は、それぞれが持つ演技力を最大限に発揮したキャスティングとなっています。

MASTER/マスターのあらすじと物語の展開

「MASTER/マスター」は実際に韓国で起きた巨額詐欺事件をベースにした作品です。

物語の発端

マルチ商法で巨富を築き、政界や官僚にまで影響力を持つチン・ヒョンピル会長。彼が経営する投資会社「ワン・ネットワーク」は、数万人の会員を持つ巨大組織でした。知能犯罪捜査課長のキム・ジェミョンは、半年間チン会長を追い続け、彼の側近である天才ハッカーのパク・ジャングンに司法取引を持ちかけます。

中盤の展開

ジャングンは減刑と引き換えに裏帳簿の提供に合意し、チン会長の目を盗んで情報収集を開始。しかし、パクの裏切りを察知したチン会長は巧妙に証拠を隠滅し、巨額の資産とともに姿をくらましてしまいます。

一年後の追跡劇

チン会長とキムママ(共犯者)の焼死体がベトナムで発見されたと報道されますが、ジェミョンは彼らが生きていると確信。一年間かけて調べ上げた足跡を辿り、マニラにいることを突き止めます。現地では慈善活動団体を隠れ蓑に、議員との宅地開発共同事業で再び詐欺を働こうとしていました。

クライマックス

ジェミョンは3兆ウォンという巨額の現金を用意し、より大きなプロジェクトを提案してチン会長をおびき出す作戦に出ます。一方、キムママはヒョンピルへの反乱を企て、ジャングンに協力を求めます。最終的には街中を舞台とした派手なカーチェイスの末、チン会長は逮捕され、被害者への返金も行われるという勧善懲悪の結末となります。

MASTER/マスターの実話ベース元ネタ事件の詳細

この映画の元となったのは「チョ・ヒパル医療機器レンタル詐欺事件」という実際の未解決事件です。

事件の手口

約44万円の高額マッサージチェアを会員に購入させ、会社が代行でリゾート施設や健康ランドにリースするという投資システムでした。会員は預けるだけで8ヶ月後に141万ウォン(約14万円)の利益を得られるという触れ込みで、多くの人が私財を投げ打ってこの「おいしい投資話」に飛びついたのです。

被害の規模

2004年から8年間で会員3万人から4兆ウォン(約4000億円)という途方もない金額を巻き上げました。帳簿上では94万台のマッサージチェアが存在することになっていましたが、実際には900台程度しかなかったという驚愕の事実も判明しています。

犯人の逃亡

首謀者のチョ氏は会社のコンピューターシステムをシャットダウンさせた後、大金を持って中国に逃亡。現在は死亡したとされていますが、実際には生きているという噂も根強く残っています。この未解決という点も、映画のストーリーに影響を与えているのです。

韓国社会への影響

この事件は韓国社会に大きな衝撃を与え、マルチ商法(韓国語で「다단계」)への警戒心を高めるきっかけとなりました。コロナ禍においても健康食品の訪問販売会社が集会を開いて感染拡大させるなど、現在でもこの手の詐欺は社会問題となっています。

MASTER/マスターの監督・制作陣と映画的評価

「MASTER/マスター」は『監視者たち』で知られるチョ・ウィソク監督が脚本・監督を手がけた作品です。

制作背景

2016年韓国公開、2017年日本公開で、韓国映画としては大規模な制作費をかけたサスペンス・アクション映画として話題となりました。原題は「마스터」で、143分の本格的な長編作品となっています。

映画的な特徴

この作品の最大の特徴は、実話ベースでありながら勧善懲悪的な結末を迎える点です。実際の事件は未解決のままですが、映画では正義が勝利する韓国映画らしい展開となっています。特に街中でのド派手なカーチェイスシーンや、最後に被害者の口座への一斉返金という痛快なシーンは映画ならではの演出です。

演技面での評価

三人の主演俳優の演技力が特に高く評価されました。イ・ビョンホンの新興宗教の教祖のようなカリスマ詐欺師ぶり、カン・ドンウォンの初刑事役での正義感あふれる演技、キム・ウビンの複雑な立場を演じる繊細な表現力が光ります。

社会的メッセージ

単なるエンターテインメント作品を超えて、韓国社会の政財界の腐敗構造や、貧困から生まれる欲望が招く被害についても描いており、社会派映画としての側面も持っています。マルチ商法という身近な犯罪を題材にすることで、観客に警鐘を鳴らす意味合いも込められているのです。

MASTER/マスターが描く韓国詐欺映画の新境地

「MASTER/マスター」は韓国の詐欺・金融犯罪をテーマとした映画の中でも独特な位置を占める作品です。

韓国映画における詐欺テーマの進化

従来の韓国映画では詐欺師を主人公とした痛快な復讐劇が多く見られましたが、本作品では詐欺師を明確な悪役として描いています。これは実話ベースという性質上、被害者への配慮も含まれていると考えられます。

政治的背景の描写

映画の最後に黒塗りの警察車両が国会議事堂に向かうシーンは、政界との癒着を示唆する象徴的な演出です。これは韓国社会の構造的問題を指摘する重要なメッセージとして機能しており、単純な善悪二元論を超えた社会批判的な視点を提供しています。

国際的な視点

マニラを舞台とした海外逃亡シーンは、現代の金融犯罪が国境を越えて行われる現実を反映しています。韓国内だけでなく、東南アジアでの詐欺活動という国際的な犯罪の実態を描くことで、グローバル化した犯罪の恐ろしさを表現しています。

心理描写の複雑さ

三人の主人公それぞれが貧しい生い立ちから成り上がったという共通点を持ちながら、最終的には対立する構図は、韓国社会の階級問題や人間関係の複雑さを象徴しています。特にジャングンの立ち位置は、被害者でありながら加害者でもあるという現代社会の曖昧な境界線を表現した秀逸なキャラクター設定となっています。

視覚的な演出の意味

マッサージチェアという一見無害な商品を使った詐欺という設定は、現代社会における健康ブームや高齢化社会の不安を突いた巧妙な犯罪手口を表現しています。これは観客にとって身近で理解しやすい題材でありながら、その裏に潜む恐ろしさを効果的に伝える演出となっているのです。