稲垣成弥の出演作品一覧と経歴
稲垣成弥のテニミュでの活躍と乾貞治役
稲垣成弥さんの俳優としてのキャリアを語る上で欠かせないのが、ミュージカル『テニスの王子様』(通称:テニミュ)での活躍です。2ndシーズンにおいて青春学園(青学)の乾貞治役を演じ、多くのファンから支持を集めました。
乾貞治というキャラクターは、データテニスを得意とする戦略家で、稲垣さんの188.5cmという長身と冷静な演技が見事にマッチしていました。2012年の「SEIGAKU Farewell Party」から2014年の「Dream Live 2014」まで、様々な公演に出演。特に「青学vs比嘉」「全国大会 青学vs氷帝」「青学vs四天宝寺」「全国大会 青学vs立海」などの重要な対戦シーンでは、チームの要として存在感を発揮しました。
テニミュは2.5次元ミュージカルの先駆けとして知られており、稲垣さんにとってもキャリアの重要な基盤となりました。この経験が後の多彩な舞台活動につながっていくことになります。
稲垣成弥の青春-AOHARU-鉄道シリーズでの宇都宮線役
稲垣成弥さんのキャリアにおいて特筆すべき長期シリーズが、ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』です。このシリーズでは「宇都宮線」という個性的な役を担当し、2015年の初演から2023年の第5弾まで長期にわたって演じ続けました。
『青春-AOHARU-鉄道』は、擬人化した鉄道路線たちが織りなす青春ストーリーという独特の設定で人気を博した作品です。稲垣さん演じる宇都宮線(東北本線)は、真面目で堅実なキャラクターとして描かれ、その高身長を活かした堂々とした佇まいが役柄にぴったりとマッチしていました。
シリーズの展開としては以下のような流れで公演が行われました。
- 『青春-AOHARU-鉄道』(2015年)- 初演
- 『青春-AOHARU-鉄道2 〜信越地方よりアイをこめて〜』(2016年)
- 『青春-AOHARU-鉄道3 ~延伸するは我にあり~』(2018年)
- 『青春-AOHARU-鉄道 ~すべての路は所沢へ通ず~』(2019年)- この公演ではレオライナー役も兼任
- 『青春-AOHARU-鉄道 コンサート Rails Live 2019』
- 『青春-AOHARU-鉄道4 ~九州遠征異常あり~』(2021年)- 宇都宮線/山陰本線の二役を演じる
- 『青春-AOHARU-鉄道5~鉄路にラブソングを~』(2023年)
このシリーズは稲垣さんの代表作の一つとなり、コアなファン層を獲得することに成功しました。特に鉄道ファンと演劇ファンという異なるジャンルのファンを橋渡しする作品として、独自のポジションを確立しています。
稲垣成弥のMANKAI STAGE『A3!』伏見臣役での人気
稲垣成弥さんのキャリアにおいて、近年特に注目を集めている作品が「MANKAI STAGE『A3!』」シリーズです。人気モバイルゲーム「A3!(エースリー)」の舞台化作品で、稲垣さんは秋組の伏見臣役を演じています。
伏見臣は、クールでミステリアスな雰囲気を持ちながらも、実は仲間思いで優しい一面を持つキャラクター。稲垣さんの長身と落ち着いた演技が、このキャラクターの魅力を見事に引き出しています。
「MANKAI STAGE『A3!』」シリーズでの稲垣さんの出演履歴は以下の通りです。
- 『~AUTUMN & WINTER 2019~』(2019年)
- 『~AUTUMN 2020~』(2020年)
- 『~WINTER 2020~』(2020年、2021年)
- 『〜Four Seasons LIVE 2020〜』(2020年)
- 『Troupe LIVE~AUTUMN 2021~』(2021年)
- 『ACT2! ~AUTUMN 2022~』(2022年)
- 『ACT2! ~WINTER 2023~』(2023年)- 映像出演
- 『ACT2! ~AUTUMN 2023~』(2023年)
- 『〜Four Seasons LIVE 2024〜』(2024年)
- 『ACT3! 〜2025〜』(2025年)
また、舞台だけでなく『MANKAI MOVIE「A3!」~AUTUMN & WINTER~』(2022年)という映画版にも出演し、伏見臣役を演じています。この映画は2022年に公開され、舞台版のファンだけでなく、原作ゲームのファンからも高い評価を受けました。
「MANKAI STAGE『A3!』」シリーズは、2.5次元舞台の中でも特に人気の高い作品として知られており、稲垣さんにとっても重要な代表作となっています。伏見臣役での活躍は、稲垣さんの演技の幅の広さを示すとともに、新たなファン層の獲得にも繋がりました。
2025年5月16日には『MANKAI STAGE「A3!」Four Seasons LIVE 2024 Cinema Edition』の公開も予定されており、稲垣さんの伏見臣役を映画館で見られる機会も増えています。
稲垣成弥のドラマ・映画出演作品と原田左之助役
稲垣成弥さんは舞台俳優としての活動が中心ですが、テレビドラマや映画にも多数出演しています。特に「薄桜鬼」シリーズでの原田左之助役は、メディアミックス展開の好例として注目されました。
【テレビドラマ出演作品】
- 『美咲ナンバーワン!!』(2011年、日本テレビ)- 天見成弥 役
デビュー作となったこのドラマでは、偶然にも役名が「天見成弥」という本名に近い名前でした。
- 『薄桜鬼SSL 〜sweet school life〜』(2015年、TOKYO MX)- 原田左之助 役
人気ゲーム「薄桜鬼」のスピンオフ作品で、学園を舞台にしたストーリー。
- 『弱虫ペダル Season2』(2017年、BSスカパー!)- 館林元成 役
人気スポーツ漫画の実写ドラマ化作品。第2話・第3話に登場。
- 『Dr.らく朝笑いの診察室』(2017年、日本テレビ)- 研修医 役
- 『リアルシチュエーションバラエティ「人狼男子」』(2019年、TOKYO MX)
人狼ゲームをテーマにしたバラエティ番組。チームAとして出演。
- 『ハンサムセンキョ』(2020年、tvk)- 牧瑛士 役
レギュラー出演した地方局のドラマ。
【映画出演作品】
- 『薄桜鬼SSL 〜sweet school life〜 THE MOVIE』(2016年)- 原田左之助 役
テレビドラマ版の映画化作品。
- 『霊眼探偵カルテット』(2017年)
ホラーテイストのミステリー映画。
- 『亜人』(2017年)
人気漫画の実写映画化作品。
- 『MISSION IN B.A.C THE MOVIE』(2020年)- 山崎ダイナ役
山口ヒロキ監督作品。
- 『MANKAI MOVIE「A3!」~AUTUMN & WINTER~』(2022年)- 伏見臣 役
舞台「A3!」の映画版。
特に「薄桜鬼」シリーズでは、テレビドラマ、映画、舞台と複数のメディアで同じ原田左之助役を演じており、キャラクターへの深い理解と表現力が評価されています。原田左之助は新選組の剣の達人であり、稲垣さんの長身と凛々しい佇まいがキャラクターの魅力を引き立てていました。
また、2025年には『Ondan Sonra オンダン ソンラ』という新作映画の公開も予定されており、俳優としての活動の幅をさらに広げています。
稲垣成弥の主演作品と独自の表現スタイル
稲垣成弥さんは多くの作品に出演していますが、その中でも主演を務めた作品は特に注目に値します。彼の演技スタイルと表現力が最大限に発揮された作品として、ファンからも高い評価を受けています。
【主演作品】
- 『真っ白な図面とタイムマシン』(2015年)- 森鉄平 役
この作品では主演として全編を通して物語を牽引し、繊細な感情表現で観客を魅了しました。
- 舞台「FACE of TAILS (フェイスオブテイルス)」(2019年)- 小山内亮 役
ミステリアスな雰囲気のこの作品では、稲垣さんの演技の幅の広さが存分に発揮されました。
- 舞台『マジシャンズ・イン・サカーランド』(2019年)- TEAM◆ イルカ 役
W主演として作品の中心を担い、独特の世界観を表現しました。
稲垣さんの演技の特徴は、その188.5cmという長身を活かした堂々とした佇まいと、繊細な感情表現のバランスにあります。クールな役からコミカルな役まで幅広く演じ分ける演技力は、多くの演出家からも高く評価されています。
また、2019年5月からはニコニコ生放送で『稲垣成弥の他力本願』、2020年7月からはYouTubeで『稲垣成弥のまずやる!チャンネル』を開設し、俳優活動だけでなくWEB番組のパーソナリティとしても活躍。これらの番組では、舞台裏のエピソードや俳優としての思いなど、普段見ることのできない一面を垣間見ることができます。
稲垣さんの演技スタイルの進化は、彼の出演作品を時系列で追うことで明確に見て取れます。デビュー当初はその長身と端正な顔立ちを活かした役柄が中心でしたが、経験を積むにつれて内面からにじみ出る感情表現や、細かな仕草に至るまで計算された演技へと発展していきました。
特に近年の作品では、単に台本通りの演技をするだけでなく、キャラクターの背景や心理を深く掘り下げた解釈を加えることで、より立体的な人物像を創り上げています。この姿勢は、2022年の『舞台「フルーツバスケット」』での草摩藉真役や、2023年の『ミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」』でのアンリ役など、複雑な心理を持つキャラクターの演技に特に表れています。
稲垣さんは2025年現在も精力的に活動を続けており、『ACT3! 〜2025〜』や映画『Ondan Sonra オンダン ソンラ』など、新たな作品への出演も決定しています。今後も彼の演技の進化と新たな挑戦に注目が集まっています。